日本酒用語の解説



用語
解説
あ行
甘口・辛口
日本酒の甘い辛いは、日本酒度や酸の含有量、アルコール度などで見極める事が出来ます。
アミノ酸度
味の濃淡をみる目安で、日本酒内のアミノ酸の総量を表したものです。
一般的には、数値が高いとコクのある濃いお酒になり、数値が低いと淡い味のお酒となります。
多ければ良いという訳では無く、アミノ酸度の数値が高すぎると、雑味が出易くなってしまいます。
荒走り(あらばしり)
醪を入れた酒袋を槽に置き、圧力をかける前に酒袋の重さだけで流れ出してきた1番最初のお酒です。
家付き酵母
醸造場の建物や床に付着したその醸造場特有の酵母の事です。
菊川酵母、菊正酵母、HY酵母などが知られています。
裏ラベル
お酒のビンの裏側に付いているラベルです。
蔵元、日本酒度、原料、精米歩合、使用酵母、杜氏名などが記載されているお酒の履歴書というべきものです。
男酒・女酒
酸が強めの辛口のお酒が男酒で、酸が弱めの甘口のお酒が女酒となります。
男酒は、新酒の頃、舌触りが荒いが、夏が過ぎると酒質に柔らかみがでてきます。
一方、女酒は新酒のうちでも呑み易いお酒です。
雄町(おまち)
幻の酒米といわれる酒造好適米です。岡山県高島村字雄町が発祥の地です。赤磐雄町が有名です。
か行
掛け米(かけまい)
醪を造る時に仕込む蒸米です。できあがった酒母に麹と蒸米を加えて醪を造ります。
お酒ができるまでに使われる米は、麹米、酒母米、掛け米がありますが、
掛け米が全体の7割を占めます。
寒造り(かんづくり)
秋に収穫した新米を用い、11月頃から3月までの寒い時期に1年分のお酒を造る方法です。
利き酒(ききざけ)
お酒の善し悪しをみる目的で、口に少量含んで味わう事です。
利き酒は、色、香り、味の順でみていきます。
きょうかい酵母
日本醸造協会が領布を行っている酵母で、「きょうかい○号酵母」と名付けられています。
ちなみに、吟醸酒で良く使われているのは、「きょうかい9号・10号・12号」などです。
きもと
もと造りの方法です。
蒸米、米麹、仕込み水、酵母の培養液内で乳酸菌を自然に育成し、有害菌の繁殖を抑えます。
厳冬季の深夜に米をすりつぶす「山卸し」という苦しい作業を要する昔ながらの技術で、
江戸時代に完成されました。
吟醸酒
精米歩合が60%以下で、低温発酵させて造ります。
鑑評会の出品用として技術向上を目的とした中から生まれた酒質です。
果実の様な香りと、滑らかな口当たりが特徴で、日本酒の芸術品といわれます。
吟醸造り
お酒を低温で、ゆっくりと発酵させて造る方法です。
普通酒が最高15度で20日前後かけるのに対し、吟醸造りの場合は、10度以下で30日前後かけます。
蔵人(くらびと)
杜氏さんの指揮のもと、お酒造りに従事するお酒造りの職人さんです。
頭、麹師、もと師の三役の他、二番頭、釜屋、船頭などの職階があります。
原酒
加水によってアルコール度の調節をしないで出荷したお酒です。
貯蔵中のお酒のほとんどは原酒の状態で、ビン詰めする前に加水されるのが普通です。
原料米
お酒の原料となるお米の事です。
麹(こうじ)
お米のデンブンを糖化させるために必要なものです。
お酒造りのポイントは「一に麹、二にもと、三に造り」といわれる様に、
麹はお酒造りの最初の要となります。
麹造りは、麹室と呼ばれる密室の中に蒸米を入れ、そこに種麹をふりかけます。
種麹は、蒸米の中で徐々に繁殖し、菌糸をお米に食い込ませ、デンプンを糖分に変えていきます。
米麹、黒麹、みりん麹などがあります。
麹米
麹造りに必要なお米です。
お酒ができあがるまでに使われるお米の2〜3割に当たります。
硬水・軟水
水に含まれている成分のカリウムやカルシウムが多ければ、硬水となり、少なければ軟水となります。
硬水で仕込めば辛口のお酒、軟水で仕込めば甘口のお酒になり易いです。
酵母
大きさ、6〜7ミクロンの微生物です。酒質を安定させるには、優秀な酵母が不可欠です。
そのために醸造試験場が各地に設置され、優秀な酵母の培養が行われています。
優良な酵母は日本醸造協会から発表されるので「きょうかい酵母」と呼ばれ、
これに対し、蔵特有の酵母を「自家酵母」「家つき酵母」と呼んでいます。
古酒(こしゅ)
厳密に言いますと、新酒ができた時点でその前年度のお酒が全て古酒となりますが、
一般的には長期間の貯蔵を経たお酒の事をさします。
まろやかな風味が増し、香りも落ちついています。
五百万石
酒造好適米の中の1つです。作付け面積では日本一といわれ、幅広い地域で栽培されています。
さ行
酒林
造り酒屋の看板で、杉の葉を丸く束ねて軒下に吊るしたものです。
軒下の酒林が青々とした新しいものに変わると、新酒ができた合図となります。
雑味
一般にアミノ酸度が高くなり過ぎると、雑味が出てくると言われています。
雑味とはきたなさを感じる様な味わいです。
三段仕込み
醪を造る工程で、米、米麹、水を3回に分けて投入する方法です。
酸度
お酒の中に含まれる、酸の総量を示したものです。
10MLのお酒を中和するのに要する、水酸化ナトリウム溶液のMLを指しています。
日本酒度が同じ場合、この酸度が高い方が辛く、味は濃く感じられます。
三倍増醸酒
略して「三増酒」と呼ばれています。
食糧難の時代に米不足をカバーするため、出来上がったお酒にアルコールと調味料を加え、
約3倍に増量したのがこの名の由来です。
生産コストが安いため、現在でも市販されている日本酒の多くが三増酒だと言われています。
自家酵母
蔵元自らが培養した酵母の事です。
仕込み水
文字通り、お酒を仕込む時に使うお水の事です。
よいお酒を造るには、よい水を仕込みに使う事が必要であるため、
昔からよい水のある所に酒蔵ができています。
地酒
その土地で造られているお酒の事です。
搾り
発酵の終わった醪を布の袋に入れ、お酒を搾り出す工程の事です。
醪を入れた布袋を細長い槽に積み、上から圧力をかけると、透明なお酒が流れてきます。
蛇の目ちょこ
利き酒の時に使う白磁のちょこの事です。そこに藍色の丸い2本の線が入っています。
酒造好適米
日本酒造りに用いる酒米のなかで、特に酒造に適し、酒造専用に栽培されているお米の事です。
通常の酒米や食用米よりも大粒で、高精白米にし易く、良質の蒸米が得られ、
なおかつ麹も造り易く、吟醸酒造りには欠かせない原料です。
代表的なところでは、「山田錦」「五百万石」「美山錦」「雄町」などがあります。
酒母
麹で得た糖分をアルコールに変える工程で、酒母の中にある酵母を増殖させます。
そこで培養した酵母が雑菌に侵されない様にするために乳酸の力を借ります。
酒母は、麹と米麹と水で造られ、「もと」とも呼ばれています。
酒母米
酒母を造るのに必要なお米です。お酒が出来るまでに使うお米の約1割に当たります。
純米酒
文字どおり、米と麹と水だけで造られている物で、醸造アルコールなどは一切添加されていません。
精米歩合が70%以下に規定されているので、
原料米の特性が一番良く現れているお酒だと言われています。
米本来の芳醇な香りと、コクのある味わいが特徴です。
純米吟醸酒
米.麹.水だけを使用原料とし、精米歩合60%以下で吟醸造りを行ったお酒です。
純米大吟醸酒
純米吟醸酒の製造過程で、精米歩合が50%以下となるお酒です。
醸造アルコール
お酒の香味を調整するために加えられるものです。
さとうきび等を発酵、蒸留させた高純度エチルアルコールの事で、
原料には、米で造った物や、麦やトウモロコシで造った物などもあります。
蒸米(じょうまい)
白米に蒸気を通して蒸したものです。
蒸す事によって、デンプンの分解を助け、また、その熱によって殺菌作用も働きます。
新酒
搾りたての日本酒の事です。
まったく熟成されていないので、味は粗削りながら、新鮮さがあります。
心白(しんぱく)
米粒の中央に見える乳白色の部分の事です。
心白は組織が柔かく、麹菌の菌糸が入り易いという性質があります。
菌糸が浸透し易ければ、それだけデンプンを糖分に変える力が優れている訳で、
心白があるか無いかが、酒造好適米の条件の1つとなっています。
精米歩合
精米をして残った白米の割合の事です。
玄米の表層部には、たん白質. 脂肪.無機質など日本酒の香味や、
色調を劣化させる成分が多く含まれており、これらの部分を取り除く事を精米といいます。
当然、精米すればする程純粋になり、雑味が入りにくく米の旨みが生かされます。
尚、精米歩合 40%というのは、真ん中の40%を残し、周りの60%を取り除いた事になります。
洗米
米を洗い、付着した糠を洗い流す作業の事です。
高精白になるほど吸水力が高くなるので、短時間で行わなければなりません。
総米量
1つのお酒を仕込むのに使用する白米の総量の事で、麹米、酒母米、掛け米の総重量の事になります。
速醸もと
乳酸速醸もとの略で、市販の乳酸を利用して「もと造り」をする方法です。
手間がかからないため、現代のお酒造りの主流となっています。
た行
大吟醸酒
精米歩合50%以下の吟醸酒。酒造りの技術を集めた最高傑作です。
淡麗(たんれい)
日本酒に含まれている糖分と酸がともに少なければ、味は淡麗となります。
滑らかでみずみずしい味です。
杜氏(とうじ)
お酒造りにおける現場の最高責任者です。
特定名称酒
本醸造酒、純米酒、吟醸酒のいわゆる高級酒の総称です。
なお、特定名称酒以外のお酒を便宜上、普通酒と呼んでいます。
特別純米酒
純米酒の中の一つで、精米歩合60%以下、
もしくは、酒造好適米の使用割合が50%ある事が必要となっています。
特別本醸造酒
少量の醸造アルコールを添加する本醸造酒の中で、精米歩合が60%以下、
もしくは、酒造好適米の使用割合が50%以上あるお酒の種類です。
な行
中取り(なかどり)
お酒を搾る段階で、酒袋を槽いっぱいに積み、圧力をかけずに一昼夜おきます。
酒袋だけの重みで自然に流れ出たお酒の事を言います。
生酒(なまざけ)
加熱殺菌(火入れ)をしない日本酒です。
通常のお酒は、搾ってお酒にした後タンクに貯蔵する前と、ビンに詰める前に火入れを行います。
この二回の火入れの内、貯蔵前だけに加熱殺菌したお酒を「生詰め」、
逆にビン詰め前だけに加熱殺菌したお酒を「生貯蔵酒」といいます。
酵母菌の生きたフレッシュな香味が特徴です。
日本酒度
日本酒の甘口.辛口をみる目安となります。
糖分が多ければ甘く感じ、糖分が少なければ辛く感じます。
日本酒度は糖分の多い物がマイナスに、逆に糖分の少ない物がプラスとなります。
つまり、マイナスの度合いが高いほど甘口となり、プラスの度合いが高いほど辛口という事になります。
しかし、酸の含有量やアルコール度によって、甘辛は微妙に変化しますので、
日本酒度だけで判断出来ない部分もあります。
乳酸
もと(酒母)造りの工程で、培養した酵母が雑菌に侵されないようにするために使います。
その方法は、培養液中の微生物を利用して自然に生成させるか、
市販されている物を添加するかのどちらかです。
濃醇(のうじゅん)
日本酒に含まれている糖分や酸がともに多ければ、味は濃醇となります。
重厚でうまみのある味です。
は行
火入れ
お酒を加熱して殺菌する作業です。普通、お店に並ぶ前に2回の火入れを行います。
温度は65度ぐらいで、1回目は搾ってタンクに貯蔵する前、2回目はビン詰めする前に行います。
秘蔵酒
古酒のなかでも5年以上、低温で熟成したお酒です。
袋吊り(ふくろつり)
醪の完成後、お酒を搾り出す工程で、槽を使わず、
醪を入れた布袋を吊るして圧力をかけずに自然に落ちたお酒だけを集める方法です。
より純粋な味を引き立てます。
普通酒
特定名称酒以外のお酒の事で、出来上がったお酒に、醸造アルコールと調味料を加えたお酒です。
槽(ふね)
醪を入れた酒袋からお酒を搾り出す装置の事です。
本醸造酒
少量の醸造アルコールを、お酒の香味の調整のために添加したお酒です。
添加量は仕込み水に使われる白米の重量の10%以下、
精米歩合は、70%以下と規定されています。
ま行
美山錦
主に東北地方で栽培されている酒造好適米です。
宮水(みやみず)
名水と呼ばれる灘の仕込み水の事です。宮水とは、西宮の水を略した呼び名で、水質は硬質です。
醪(もろみ)
醪とは、もとと麹と蒸米(掛け米)と水を加えて増量したものです。この過程を仕込みと言います。
仕込みが終わり、搾りにかけるまでの発酵期間を「醪日数」と呼び、
だいたい20〜30日かけてお酒となります。

山田錦
酒造好適米の中でも最高品種と言われている酒米です。
「酒米の王様」とも言われ、大吟醸酒等の高級酒に良く使われます。
山廃もと
「きもと」の作業でとくに労力を要する山卸しを廃止した「きもと」の改良法で、山卸し廃止もとの略です。
「きもと」と同様、山廃もとで仕込んだお酒は、濃厚な風味を持っています。
四段掛け
お酒に甘味を加えるための作業です。三段仕込みの3回目の後に蒸米を急激に糖化します。
わ行
割り水
貯蔵されている熟成されたお酒のアルコール濃度を調整するためのお水です。




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