日本酒ができるまで




日本酒はどの様にして造られるのでしょうか?こちらでは一般的な造り方をご紹介させて頂きます。


1.精米
酒造りは米を磨き、玄米を白米にする作業から始まります。米の外側にある不要なタンパク質や脂肪を、精米機を使い取り除きます。
よく精米歩合と言う言葉を聞かれると思いますが、これは、どの程度精米したかの度合を表すもので、例えば、日本酒に精米歩合60%となっていれば、玄米が40%削られた事になります。
ちなみに、食用米の場合は精米歩合は90%で済むそうですが、大吟醸酒になると50%は行う必要があります。50%の精米行うには、3日間も精米し続ける必要があるそうです。


2.洗米・浸漬
精米し終えた白米に付着した糠を洗い落すために洗米し、後に行う蒸した時に十分糖化されやすい理想的な米の状態にするために水に浸けられ給水を行います。この作業を浸漬といいます。
米が給水し過ぎると、理想的な蒸米にならず理想とする日本酒にならないため、吟醸酒になると浸漬は杜氏さんがストップウオッチを片手に数十秒単位で進められるほどの、とても神経を使う作業となるそうです。
ちなみに一般的な工程時間は、吟醸酒であれば洗米から浸漬まで5~10分、その他のお酒は浸漬用タンクで1~3時間だそうです。


3.蒸米
米を蒸す作業です。蒸米は米を加熱して米内部のデンプンを柔らかくして麹菌の菌糸の影響を受けやすくし、デンプンを糖化し易くさせるのが目的となります。


4.麹造り
古くから酒造りのポイントは、1に麹、2に酒母(酛)、3に造り(醪)と言われる程、麹造りはお酒の善し悪しを左右する大切な作業の1つとなります。
麹造りは米のデンプンを糖化させるための酵素をつくる作業で、蒸米に種麹をふりかけ、徹底した温度(室温は約30度)や湿度の管理の施された麹室で丁寧に麹菌を育成させた麹にしあげます。
この麹造りも浸漬動揺神経を使う作業の様で、昔から「杜氏は麹と寝る」といわれるくらい、ひどい時になると夜中でも3時間おきくらいに麹の状態の確認にいかれるそうです。
ちなみに、麹とは蒸米一粒一粒に麹菌が繁殖しているものを指し、麹を造る事を製麹(せいぎく)と呼んでいます。


5.酒母(酛)造り
酒母(酛)造りとは醪の発酵をスムーズに行うために優良な酵母を造る作業の事を言い、来上がった酒母(酛)は粥状になっております。
造り方は、麹・蒸米・水・酵母・乳酸を加え、ゆっくりかき混ぜながら(適温を保ちながら)酵母を繁殖させていきます。
酒母の量は、酒仕込み量の1割にも満たないのですが、この善し悪しが酒質に大きく影響を与える事から「母の酒」と言われているそうです。
なお、酒母造りには乳酸が必要と記させて頂きましたが、乳酸には既成の乳酸と自然の力で発生させた乳酸があり、既成の乳酸を使用した場合は「速醸系酒母」と言い約2週間ほどで酒母が出来上がり、自然の力で発生させた乳酸を使用した場合は「生酛系酒母」と言い、酒母が出来上がるまでに約1か月かかるそうです。
ちなみに、皆さんがよく聞かれる「山廃酛」は「生酛系酒母」に属するそうです。


6.仕込み(醪)
酒母(酛)に麹・蒸米・水を加え低温で約1か月間発酵させる作業が仕込みとなります。日本酒造りのハイライトと言えます。麹の酵素が蒸米のデンプンを糖にかえ、次にこの糖を酵母がアルコールに変えます。アルコールが含まれた酒のもとを醪と言います。
なお、この時に使われる水が「仕込み水」の事を指します。


7.製品化
発酵を終えた醪は、清酒と酒粕とを分け(この作業の事を上槽と言います)、清酒は加熱殺菌(火入れ)されます。その後、出荷まで香りと味を熟成させるまで酒は酒造タンクで1~3か月間貯蔵されます。熟成させた酒は、割り水と言われる水でアルコール度の調整をされ(割り水をしないお酒が原酒です)、検査等を経て瓶詰めされます。
なお、加熱殺菌(火入れ)は60度の低温殺菌法で行われますが、通常のお酒は、上槽してお酒にした後、タンクに貯蔵する前に1度と、ビンに詰める前に1度の、計2度の加熱殺菌(火入れ)を行いますが、加熱殺菌(火入)を1度も行わないお酒が「生酒」。貯蔵前だけに加熱殺菌したお酒を「生詰め」。逆にビン詰め前だけに加熱殺菌したお酒を「生貯蔵酒」といいます。

【加熱殺菌(火入れ)について】
火入れとはお酒造りの工程の1つで、お酒に55℃~60℃の熱を加える作業の事です。加熱する事によって、酵素の働きを止めて腐敗防止の効果を高め、熟成の度合いを加減します。





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